雨漏りは棟板金から?
雨漏りは棟板金から?
梅雨時期に、お客様からお問い合わせの多い雨漏りについて、詳しく書かせていただきました!
是非ご覧ください🙂
棟板金(むねばんきん)
あまり聞き慣れない言葉だと思いますので、詳しくご説明していきます!
棟板金とは、屋根の最も弱い箇所である屋根の「棟」に取り付けている金属部材のことを言います。
屋根の最も弱い箇所に取り付けられている、屋根材よりも薄く、軽量な棟板金。
薄い金属製品であるため、様々な原因によって雨漏りが発生します。
屋根の雨漏り原因のひとつになりうる棟板金について、雨漏りの原因及びメンテナンス方法などをご紹介いたします!
棟板金とは?棟板金の目的や特徴を見ていきましょう
まず、なじみのないのは「棟(むね)」という言葉ですよね。屋根は、屋根材が敷かれたいくつかの面によって構成されています。
例えば日本のお住まいでもよく採用されていてイメージもしやすい三角屋根(切り妻屋根とも言います)であれば、
面が二つ合わさって屋根の形を構成していますね。また、日本住宅で一般的な寄棟(よせむね)屋根、こちらは4つの面から屋根が構成されています。
このように屋根は面と面が重なってできていますが、面が重なることで頂点となる部分が必ず生まれますよね。ここを「棟」と呼んでいます。
棟には、最も高い箇所にある「大棟」や寄棟屋根の4隅に傾斜がある隅棟(下り棟)などがあります。
この棟に被せている板金であることから「棟板金」と呼ばれています。
そしてこの棟板金があることで、屋根の雨仕舞が完成し、屋根からの雨漏りを防いでいるのです😊
屋根の種類は様々ですので、形状によりどこから雨漏りしているのか変わってきます。
棟板金はどんな屋根についてる?
ところで、棟板金はどんな屋根にも取り付けられているのでしょうか?
棟は面が重なり合った屋根であれば必ず存在します。
しかし棟板金はその屋根の素材によって取り付けられている屋根、そうでない屋根が存在するのです。
ちなみに瓦屋根には棟板金は取り付けられておりません。瓦屋根の場合は「棟瓦」が取り付けられているんです。
金属でできた「棟板金」とは、スレート屋根や金属屋根で用いられています。
屋根の弱点である屋根の端(つまり面と面が重なる頂点部分)を覆うように取り付けてあり、雨仕舞の役割をしています。
わずか0.4mm、厚いものでも0.9mm程度の厚みしかなく、一般的なスレート屋根材と比較してもその厚さは1/10程度しかありません。
天を向いて取り付けられている部材ですから、雨が直接棟板金部分に落ちてきます。もし棟板金で覆われていなければ、屋根の面と面が重なる隙間から雨が浸入してしまいます。棟板金があることで建物内部への雨水の浸入を防いでいるのです。
ちなみに棟板金の素材としては30年以上前はトタンが主流、現在ではトタンよりも錆に強く耐久性の高いガルバリウム鋼板が主流となっています。
スレート屋根や金属屋根にお住まい方で、雨漏りにお困りの方は棟板金以外に原因がある場合もあります。
それぞれの屋根材の雨漏り原因はさらにこちらで詳しく説明しています。
棟板金はどのように施工されているのか?
棟板金は屋根の頂点の最も雨の影響を受けやすい場所に設置されているということはご理解いただけましでしょうか?
雨漏りの原因に進むにあたってまずは棟板金がどのような構造で、どのように取り付けられているのかを見ていきたいと思います。
雨漏りがするということは、雨漏りの原因となる箇所が存在するということです。つまり雨水が浸入できる入り口がわずかでもあるということですよね。
棟板金のどのような箇所が雨水の浸入口となり得るのでしょうか。雨漏りの原因となり得るのでしょうか。
それはどのように施工されているか見ていくことでヒントとなります。
棟板金は「貫板(ぬきいた」と呼ばれる木材に、「釘」によって取り付けられている「板金」です。
つまり「貫板」「釘」「板金」の3つのパーツで構成されています。
まずは屋根材に板金を固定するための貫板を釘で固定していきます。その上に加工された板金を被せます。
最後に側面から釘で板金を固定します。このようにして棟板金は施工されています。
では一体どこが雨漏りの原因になるのでしょう?
実は木材である「貫板」、そして「釘」また「釘穴」、「板金」すべてが雨漏りの原因となり得てしまうのです。
ではそれぞれがどのような劣化や不具合をたどり、雨漏りの原因となってしまうのか詳細を見ていきましょう。
棟板金の雨漏りの発生原因
【原因1】釘穴から雨水が浸入
棟板金からの雨漏りのもっとも初期の原因が釘穴からの雨水の浸入です。
棟板金の側面に打ち付けられている釘が浮くことにより、穴が露出してしまい、そこから一滴一滴と浸入した雨水が木材の貫板に染み込んでいきます。
限界まで水分を吸い込んだ貫板からさらにポタポタと雨水が屋根の下地や屋根裏に影響を与え、最終的に内装材にダメージを与えたり、
室内にダメージを与えたりといった雨漏り被害にまで発展してしまうのです。
どうして固定されていた釘が抜けてしまうの?
☑金属の特性である伸縮による浮き
鉄は熱いうちに打てと言いますが、熱を持つと伸びやすい性質を持つのが鉄、金属の特徴です。
このような特徴から、日中や夏の暑い日など太陽の熱を直接受けることにより棟板金は膨張します。
すると貫板に打ち付けられている釘がその膨張とともに浮いてきてしまいます。逆に夜間や冬場は気温が下がることによって収縮を起こし、
浮いた釘をそのまま残して板金は元の位置に戻ろうとします。
このような膨張・収縮を繰り返しによって釘が経年で徐々に浮いてきてしまうのです。
雨漏りのお問合せをいただき棟板金の点検をさせていただいていると、特に古い家屋にその傾向が多いのですが、
棟板金を固定するために鉄釘が使用されていることがわかります。
鉄は水分と酸素によって錆が発生しやすいという性質を持っていますよね。
何年も屋根の頂点で雨を受け続けてきた鉄釘がどういう状態にあるか…想像に難くないですね。
そもそも錆びて釘が膨張してしまうことでまず釘穴自体も広がってしまいます。
当然錆によって腐食しているため折れやすく、耐久性も著しく低下しています。
そのようなことから浮きや抜けに繋がってしまうのです。
棟板金自体の浮きによる隙間から雨水が侵入
熱による膨張と収縮によって釘が浮いてきてしまう事で屋根材との間に隙間ができてしまい、そこから雨水が浸入し、雨漏りにつながってしまうケースです。
また釘が浮いてしまう事により固定力を失った棟板金が風の影響を受け、浮いてしまう事もあるでしょう。
いずれにしても、ずれて浮いてしまった棟板金が雨仕舞としての役割を果たすわけはありません。
全体的に浮いてしまえば、浸入口は釘穴どころではありません。棟板金のいたるところが雨漏りの原因になってしまいます。
この場合も浸入した雨水がまずは貫板を濡らし、そこから徐々に下地を傷めつけ内部へと雨漏り被害を拡大させていきます。
【原因3】「強風による棟板金のめくれ・飛散からの雨漏りの発生」
上の写真でもお分かりのように、ここまで口を広げてしまっていては雨水が容易に入ってしまう事は誰にでもお分かりいただけますね。
このような状態になってしまっては次の雨の日には確実に雨漏りが起こってしまいます。棟板金の不具合でも最悪のケースだと言えます。
棟板金は、貫板に釘で打ち付けて施工しますが、屋根材に比べると非常に軽量で、かつ高所にあるため台風や突風などの強風に煽られやすいと言えます。
その影響で最悪の結果としてめくれ・飛散といった不具合が発生してしまうのですが、その最大の要因は「木製の貫板の劣化・腐食」です。
雨水の浸入を許してしまう事で貫板は劣化・腐食する
木材にとって水分は大敵ですよね。木製の貫板にとってみれば雨水の浸入は素材の耐久に関わる重大な問題です。
前述の通り釘の浮きや穴、棟板金の浮きといった隙間から入り込んできた雨水はまず貫板が受け止めます。
メンテナンスをされずに浸入口が放置されたままの貫板は雨が降るたびに雨水を受け続けることになります。
もともと固かった木材も水分を含んでしまう事で柔らかくなってしまいます。
さらにそこから腐食してしまえばボロボロの状態となってしまい釘を固定する力を失ってしまっている状態だと言えます。
固定力を失ってしまえば釘の浮きや抜けは簡単に起きてしまいますし、あらためて釘を打ちなおしたところで腐食してもろくなった貫板にはもはや棟板金を固定し、
風圧から守る力は残っていないのです。
【原因4】棟板金接合部のコーキング劣化・剥がれによる雨漏り
大棟、隅棟など複数の棟が存在する形状の屋根の場合、複数の棟板金を接合し全体の棟をカバーしていきます。
接合にはコーキングによって止水処理が行われますがコーキングは早ければ5年、長くても10年程度で劣化を始め、
ひびや割れを起こし、徐々にその固定力を弱めてしまいます。
コーキングにひびや割れが発生してしまえばそこから雨水が浸入してしまいます。
また固定力を失い接合部の板金が浮いてしまえば、またそちらも雨漏りの原因となってしまうのです。
【原因5】「錆により棟板金自体に穴が空いてしまったことで雨漏り発生」
現在の棟板金のほとんどがガルバリウム鋼板かトタン製のものです。
ガルバリウムが一般化してきた1990年代以降の建物であればガルバリウム鋼板を、それ以前であればトタンが使われている建物が多いのではないでしょうか。
いずれも金属であるが故に抱える悩み、それは「錆」です。
<棟板金に「錆」が起こる原因>
- 経年劣化により塗膜や亜鉛メッキ(ガルバリウム鋼板であれば亜鉛とアルミニウム)が剥がれてしまった
- 飛来物によって塗膜やメッキ(ガルバリウム鋼板であれば亜鉛とアルミニウム)を貫通する傷を受けてしまった
- 海の近くで塩害によって
- 屋根に乗っているアンテナなどからのもらい錆
ガルバリウム鋼板もトタンもどちらも素材に鉄が含まれることから、上記のような理由で錆びてしまい、
それが原因で穴が空いてしまう事によって雨漏りが発生したという事例も存在します。
錆びているということは素材の耐久性が大幅に低下している状態でもあります。
錆や穴が全体的に広がっていけば雨水の浸入口を次々に作ってしまう事態になってしまうので要注意です。
最適なメンテナンス方法
ガルバリウムは、メンテナンスフリーではない?
ガルバリウムはメンテナンスフリーだと勘違いされている方がいらっしゃいますが、まったくの誤解ですのでご注意ください。
確かにトタンと比較しても錆に強いとは言われています。
しかし屋根材にも使用されるこのガルバリウム鋼板、例えばケイミューのスマートメタル、アイジー工業のスーパーガルテクト、
ニチハの横暖ルーフなど有名メーカーのガルバリウム鋼板製の屋根で錆の保証は20年です。
決してメンテナンスフリーではないということをご承知おきください。
すでに雨漏りが始まってしまっている方、もしくは幸いにもまだ雨漏り被害を受けていない方がいらっしゃると思います。
経年劣化や自然環境によって傷みが毎日進行している棟板金ですから、雨漏りしていないからといって油断することはできません。
耐久年数や状態を考慮して必要なメンテナンスを検討していきましょう。
塗装によるメンテナンスは大事です!
10年を目途に塗装によるメンテナンスをしましょう。
トタンにしてもガルバリウムにしても、鉄板を塗膜や亜鉛メッキ(ガルバリウム鋼板であれば亜鉛とアルミニウム)が覆い、錆の発生から守っています。
これらは経年劣化で徐々に剥げてしまい、再生することはありません。
一度錆びてしまえば耐久性はどんどん低下し、最悪素材に穴を空けてしまい雨漏りを誘発してしまいます。
そうなる前に必ず塗装をして棟板金の寿命を延ばしてあげましょう✨